2012年03月19日 あなたもチャレンジ!家庭菜園

栄養豊か花も楽しめるオクラ
                   板木技術士事務所 板木利隆


 夏を越して晩秋までも果実(莢果〈きょうか〉)を取り続けることができ、フヨウに似た黄色い花は観賞用としてもなかなかのもので、家庭菜園や庭先、プランター栽培共にお勧めです。  
 独特のネバネバのもとは食物繊維として働くペクチンと糖タンパク質のムチン。整腸やコレステロール値を下げ、胃炎、胃潰瘍の予防やタンパク質の消化吸収を助け、カロテン、ビタミン類、カリウムなども多く含まれ、体の免疫力を高めるなど、優れた健康野菜といえます。  
 食べ方は、刻んで生のままだけでなく、ゆでたり、炒めたり、サラダやてんぷら、みそ漬け、かす漬けなど、使い道が広いのも魅力です。
【育て方のポイント】
 高温性で、昼は25〜30度、夜は20〜23度が適温で、10度以下の低温では生育が停止し、葉が黄変、落葉します。よく、「畑に植えたが一向に伸びず、枯れたりする」という声が聞かれるのは、苗が低温に遭っていたり、植えた畑が寒過ぎたりした場合が多いのです。水不足と勘違いして水をやり過ぎると地温が下がり、過湿となり立枯病が発生したりして失敗を助長してしまいます。   苗は3号ポリ鉢に水にひと晩浸した種子を4〜5粒まき、20度ぐらいに加温して育てるか、市販の苗を買い求め、2本立てにして暖かい所で再育苗し、十分暖かくなってから畑に植え出します。図のようにポリマルチし地温を上げてから植えることが大切です。  
 初めは枝分かれせず、1株当たりの花・果数が少ないので、それを補い、前期収量を高めるために、畑でもプランターでも1カ所2株ずつ植えることをお勧めします。前半は葉もあまり込み合わないのです。
 収穫が始まったら、図のように取った果実の下の方の葉は順次摘み取り、盛んに育ち、側枝が伸びだしてきたら、主枝の上の方を摘除して側枝に陽を当て、よく伸びるようにします。半月に1回ぐらい、1株当たり小さじ1杯の化成肥料を株の周囲に与え、軽く耕し込みますが、茎葉が軟弱に育ち、込み合っていたら量を控えめにします。  
 近ごろ各地で葉を筒状に巻き食害する「ワタノメイガ」の多発が見られます。発見次第早めに捕殺するか殺虫剤を散布して防ぎましょう。また根にネマトーダ(線虫)が発生しやすいので、連作を避け、前作に発生が見られた畑では栽培しないよう配慮してください。(この記事は「JA広報通信」に掲載されたものです)