2012年05月21日 あなたもチャレンジ!家庭菜園

育てやすくて新鮮な味が格別 インゲンマメ          

                  板木技術士事務所 板木利隆
 
 
 よく充実した大きな種子は、簡単に種まきでき、発芽も良く、元気よく伸びるので、誰でも失敗がなく、トウモロコシやエンドウのように鳥害の心配もしなくてよいので、育てやすい野菜です。  
 インゲンの名は、隠元禅師が中国から伝えたところから、関西方面では三度豆とも呼ばれるのは、一作の栽培期間が短く、年に3回も作付けできることに由来します。  
 家庭菜園に取り入れる魅力は、取れたての高鮮度の味が大変良く、市販品では得られなかったおいしさが発見できることです。カロテン、ビタミンCが多く、緑黄色野菜に位置付けられ、カリウム、ビタミンB群やカルシウムも含まれていますので、夏の栄養源として、また若莢(わかさや)にはアスパラギン酸やリジンが含まれているので、疲労回復や美肌効果も期待できます。  
 つる性種と矮性種(わいせいしゅ=つるなし)があり、つる性種は茎が2〜3mにも伸び、アサガオと同じく左巻きで支柱によく絡み付きます。矮性種は草丈が50cm程度で節間も短く、簡単な支柱(場合によっては不要)でよく、プランターでも栽培できます。  
 生育適温は15〜25度、10度以下や30度以上では生育が極めて悪くなります。つる性種は春、矮性種は春から夏にかけて栽培します。低温には弱いので、種まきは5月上旬以降にし(関東南部以西の温暖地の場合)、それより早まきするには3号ポリ鉢に3粒まきとしてビニールトンネル被覆で保温育苗する必要があります。  土壌の適応性は広く、どんな土質でも良く育ちますが、連作を避け、過湿や乾燥に弱いので、排水の良い畝作りや、夏の防乾、灌水(かんすい)に留意しましょう。また、ウイルスが発生しやすいので、アブラムシの防除を、特に生育初期の発見に心掛けて行いましょう。  
 良質の若莢をたくさん収穫するには、初期の生育を順調に進め、肥効を切らさないで次々と開花、結実させることが大切です。そのためには元肥に良質の堆肥と有機質肥料を若干与え、開花期に入ったら遅れずに化成肥料と油かすを追肥しましょう。  収穫は種まき後50日前後から。矮性種は20〜25日、つる性種は約2カ月続きます。丸莢の矮性種は莢の幅が7〜8cm、つる性種は8〜9cmぐらいを目安として、取り残しのないように毎日行い、取れたての新鮮な味を、十分に楽しみましょう。つる性種の方がよりおいしいです。(この記事は「JA広報通信」に掲載されたものです)