2012年10月30日 四季の花づくり

日本風情を醸し出す                  早川京子

 日本伝統の草花、ハボタンやフクジュソウが、これから定植時期になります。  
 床の間の風情を詠んだと思われる、「梅と挿されて葉牡丹(はぼたん)低しおのずから」(温亭)の句があるように、ハボタンは日本の家屋内外のたたずまいを彩ってくれる風雅があります。が、元はヨーロッパ原産のキャベツの仲間のケールとされています。色づきや姿が日本人に合っていたのか、400年以上前に渡来してから、改良に改良が加えられて、いかにも和風を醸し出す多くの品種が作り出されました。  
 ハボタンは気温が下がり、寒くなってくると色づき始めます。このころからが定植時期です。秋、涼しくなってくると、株が急に大きくなり始めますが、色づくまでは、下葉をかき、風通しを良くしてやりながら、その時期を待ちます。定植場所には肥料を入れません。  
 一般的に、花を咲かす宿根草は秋早く植え付けますが、フクジュソウは秋の終わりから冬に植え付けます。しかも花の時期でも平気です。2月くらいまで大丈夫です。寒さには強く、暑さには弱いのですが、花の後から葉が枯れるまでの生育期間には、十分な日光が必要ですので、植え付け場所は落葉樹の樹幹下が選ばれるのです。ここなら、冬から春まで日光が当たり夏が近づくとともに上方の落葉樹の葉が茂ってきて、涼しい日陰をつくってくれます。植え付け場所には腐葉土を多く施しておきます。  
 植え遅れたり植え忘れたりした球根もまだ植えられます。少し浅めに植え、落ち葉やわらでマルチしておきます。  
 地上部がほとんど生育を止めたり、球根類のように地上に姿を見せていなかったりする草花も、根は活動していますので、水やりを忘れないようにしましょう。特に、防寒してある下は雨が掛かりにくいので留意します。(この記事は「JA広報通信」に掲載されたものです)